落合・長崎を歩く

今回の内容を一言でまとめると「仕事終わりに用があって行ったところの近所を散歩した」になります。いつも通り(いつにもまして)特段の主義主張のない記事となっております。落合から長崎にかけて歩いた、という話です。全般的に、東京の地理に馴染みのない方には申し訳ないのですが、登場する地名のほとんどが新宿区と豊島区のものですので、あらかじめお伝えしておきますとともに、ご容赦を願うところであります。

18:00過ぎ、勤務を終えたあとに用事があって落合のほうに行きました。落合と聞くと、中日ドラゴンズの監督のおじさん、くらいしか思い付かないのですが(プロ野球に詳しくないので、ほんとうにそれ以上はわかりません…)、用事を早々に済ませて、ほんとうに早々に済んでしまって後に何も予定がなかったものでしたから、最近は長いこと行っていない、東長崎の駅まで歩こうと思ったのです。
東長崎駅は、単に落合から適度な距離があったのと、東長崎はかつて友人(であり、友人の元カノ)が住んでいたところで、何回か行ったことがあり、その度に駅前の雰囲気の良さを感じていたので、歩いてみることにしたのです。

今回は落合、妙正寺川の北側から歩を進めます。妙正寺川というのは、杉並の妙正寺からしょぼしょぼと流れて、高田馬場あたりで神田川と合流する一級河川、というよりはB級河川といった感じの川ですね。
神田川で思い出したのですが、私の父は南こうせつ(フォーク歌手)が嫌いでして、ある日なんで嫌いなのかと訊ねてみたところ、
南こうせつは、あんなに貧乏くさい曲(神田川とかもそうよね)を歌ったのに、稼ぎまくって今じゃ豪邸に住んでる」
と言っていて、南こうせつが今どんなところに住んでいるのかは知りませんでしたが、『神田川』がわざとらしく貧乏くさい曲であることだけは同意できたような、そんなことがありました。
東長崎の駅まで歩こうと決めて、景気付け、というよりはお酒が飲みたかったので、そのへんのマルエツストロングゼロとメンチカツ(半額)を買って、そのへんにあった中落合公園で一杯。目の前に新目白通りがあったので、安直に西進を開始しました。西進を開始、というとソ連軍みたいでいいですね。単に散歩してるだけなのですが。
そのまま西に歩いていくとやや大きな「西落合一丁目」交差点に。奥に大江戸線落合南長崎駅を眺める、病院とマンションとマクドナルドくらいしかない平凡な交差点。"新目白通り"の終点であり、西端として目白通りとクロスする交差点ですね。その光景に到ったことになんとなく胸が熱くなると、今度は目白通りの方にそれる形で北へ向かいます。
そのままなんともいいがたい、住宅街を5分ほど歩くと、トキワ荘マンガミュージアムなる区営の施設があります。閉館後であったのと、私はサブカルチャーにも明るくないので、隣接する公園を歩く格好で敷地内をひとまわりして退出。明確に意識はしていませんでしたが、典型的な豊島区西側の住宅街といった印象を受けたので、きっとこの辺りから長崎でして、細い道を選んで北へ北へと。しばらくすると西武線の踏切にあたります。
西武線だあ!」
と、ぱあっと明るい気持ちになります。幼少期から「野球というのはな、西武ライオンズが勝つとな、いいんだ」と親類に言われて育ったのです。とかなんとか、これはこれで話すと長くなって、なおかつ多くの人にとって楽しくはない話なので割愛しますが、とにかく、「父の肖像」などを読んだり、色々あったのです。
物心ついた頃には路線図を描いて遊んだり、副都心線の完成を予言していたような私でしたから、詳細な道を把握していない漫歩の際も、線路や踏切にあたると一瞬にして地理感覚を把握してしまいます。
住所表記が豊島区長崎に変わるあたり、入居者募集の広告に「3万円〜」とあったのが目に入り、いま住んでいるところでやらなければならないことがなければ(事情があるのです)、こういうところに住むのもいいなぁ、と思ったりしました。
おばあさんがのんびりと店番をやっているタバコ屋の近くの、平凡な古めのアパートのドアから、60過ぎくらいに見えるおじさんが、スクーターに乗った女の子に向かって、道路の方に手を振っていました。
おじさん「気をつけてな〜」
女の子「あいよ〜」
どちらかといえば小柄で、細身ではない、肩に掛かるか掛からないかくらいの茶髪の、私と同じくらいの女の子。勝手に「ときたま会いに家に来る、元妻との間のひとり娘」なのだと想像してしまいました。女の子は、きっと将来、素敵なおかあちゃんになっていそうな笑顔で、おじさんに返事をしていました。
こういう街が僕は好きなんだよ、って思いました。
東長崎駅の北口というのは降りたことがない。より南口よりも住宅街と連続した出口、という印象でした。それからやることもなく(元々ないのですが)駅前でケバブサンドを買って(好きだから)、電車に乗って帰りました。家に戻って、お酒を飲みながら、ケバブサンドを食べています。おいしい。

最近買った本をご紹介。以前にもTwitterに上げたことがありました。森村進『自由はどこまで可能か リバタリアニズム入門』(講談社現代新書) 単純に入門書として良い出来、であるのと、かつて19歳の私をリバタリアン沼に引き摺り込んだ元凶にして名著。このようにリンクを貼るのは慣れていませんので不恰好でしたらお許しください。とにもかくにもご一読を。ではでは。

https://www.hmv.co.jp/artist_%E6%A3%AE%E6%9D%91%E9%80%B2_000000000256237/item_%E8%87%AA%E7%94%B1%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%BE%E3%81%A7%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%8B-%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0%E5%85%A5%E9%96%80-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8_1755373