餓鬼道

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突然ですが、皆さんは餓鬼というものをご存じでしょうか。

私はよく知らないのですが、仏教の世界観によると、われわれ命あるものは必ず死を迎え、そのあとに輪廻転生というものをやるみたいです。で、この輪廻転生によって、業とよばれる生前の行いに応じて、われわれの様々な"次の生"がどのようなものか決定されるそうです。
受験勉強を頑張らない→2浪を経てM大学のような三流大学に入ることになってしまう…
学生生活を頑張らない→正規の職を得ることができず、保険証はいつまでたっても国保、ボーナスはもらえない、結婚もできない…
等の現象のように、輪廻転生も「それまでの行い」と「その報い」のセットによって成り立っているのだそうです。(だそうです。などと書いているものの、何か参考となる文献にあたったりしていないので、すべて仏教シロウトである私の認識に過ぎません。間違ってたらごめんなさい)

この画像は『餓鬼草紙』という平安時代鎌倉時代?の絵巻物ですが、高校時代に受けた日本史の授業で私はこれを見て、衝撃を受けたことをはっきり覚えています。
高校2年生の当時から、受験科目として使う予定のなかった日本史の授業を、まして仏教に関心もなく、かなり不真面目に受けていたような気がするのですが、当時の私の担任でもあった日本史の先生(毛沢東に激似の中年男性)が
「ここに描かれている餓鬼は、前世で悪いことをしてしまって、常に飢えや苦しみを感じている状態なんだ。でも、なぜか人間のクソしか食べることができないから、こうやって人間に寄っていってるんだ。お前らも、悪いことをすると、どうなるか分かんねえぞ」
というような説明をしていました。
…そんな…糖質制限ですら絶対ムリなのに、人間のクソしか食べられないとか、ありえないでしょ………


………ということを、なぜいま思い出したのかといいますと、私は銭湯に行くのが好きなんですね。で、残念なことに私はとうぜん女湯には入れませんし、本物を眺める機会もありませんから、実態がどうなのかはよく分かりませんが、
「女性の裸は、そう汚くない」
と思うんです。汚くないってのは、垢がついてるとか腋毛がどうとかではなく、生物の自然な造形として綺麗なのか汚いのか、ということです。
一方で思うのが、銭湯の男湯やその更衣室で見かける、とりわけ中年以上の一般男性の裸って、汚いものが多いように感じるんです。肌に張りがなくて、皮膚がたるんでいて、腹が突き出ていて、でも脚は細い…というように。
ここで、男湯に入る習慣のない人が日頃見るであろう「裸の男」は具体的に誰なのか、いくつか例を挙げてみましょう。

ダビデ像
ミケランジェロの彫刻。筋肉質なフルチンの男性。
・大相撲力士
大相撲は見栄えの良さを競うスポーツではないが、アスリートである力士は、常軌を逸する日常の苛烈なトレーニングにより、その身体を鍛え上げている。
なかやまきんに君
筋肉質な身体を活かした、変顔を見せポージングしたり叫んだりする芸風で知られるタレント。ボディビルダーでもある。

…お気付きでしょうか。彼らは、みな、「肉体のプロ」なのです!ダビデは知りませんが、まぁミケランジェロもわざわざ汚い身体の男をモデルに彫刻なんて作る気も起きないでしょうから、きっと知り合いのレスリング選手か何かをアトリエに呼んでフルチンにさせたのでしょう。

結論を申し上げます。
「一般人の男の裸は汚い」

で、銭湯で汚い男のグロテスクな裸を見て、突き出た腹と細い脚-それは"死"を想起させる-を見て、私は
「これは、見覚えがある。餓鬼道に墜ちた人間の成れの果て、だ…!」
と思い、彼らのようになりたくない、と強く感じたのです。

べつに、裸を評価されるカッコいい身体になりたい、とかではないのですが(カッコいい方がいいのは勿論そうですが)、死を感じさせるグロテスクな身体(彼らも善良な市民でありますから、こう何度もdisるのは気が引けますが)になりたくないのです。

ということで、運動することを決心した私は、仕事が終わって家に帰ってすぐ、スウェットに着替え、アニソンを聴きながら(余談ですが、私は『ひだまりスケッチ』シリーズが好きです)、近所の墓所の周りをランニングして、洗濯機を回して、お風呂に入って、お酒を飲まず(えらい)、布団でリラックスして今に至るわけです。

運動し、テストステロン出しまくり(←ここ5・7・5)、アルファ・オスへと変貌を遂げ、稼ぎまくり、モテまくり…
(バスタブにお札)(若い女性ふたりをはべらす)(5万円のパワーストーンのネックレス購入レビュー)(月刊ムーとかの一番最後のページ)

臭いオタクが汗かきながらアニソン聴いて夜中にお墓の周りを走ってたら、まぁ通報されても文句は言えませんね。でも、人間ですから運動したら汗をかくのは当然ですし(※注:ヲタクの汗は臭い。この話はまた別の機会にしたいと思います)、朝からバイトですからね………


最後に、私は死後の世界を信じてないのですが、せっかくですから輪廻転生するとして、運動して、その甲斐あって餓鬼にならずに、餓鬼道に行かずに済んだとして、輪廻転生を挟んだ最良の死後のプランについて考えてみましょう。いちばんランクの高い「天道」に行きたいですね。

ようわからんのでwiki「天」より抜粋
「天道は、六道の最上位である(この文脈では天道と訳すことが多い)。そのすぐ下位が人の住む人道である。」
「天人は長寿で、空を飛ぶなどの神通力が使える。また、快楽に満ち、苦しみはない。」

快楽に満ち、苦しみはない(断言)。最高かよ。頼もしすぎるぜ。いやなんか、空飛ぶとかそういうのは別にいいから、実家が裕福で、文学部で、中高一貫の女子校出身で、ムチムチしてて(以下略)みたいな女の子がたくさんいる世界だとなおのこと最高ですね。