顕○会に勧誘された話

勧誘されやすい人、というのが世の中にはいます。私なんかは、猫背で、あまり人を殴ったことがなさそうな顔をして(←これは悪口の意味合いです)街を歩いていますので、きょうも街ゆく不動産営業のアンケートに回答していました。
こういう文脈でいうところの「いい人そう」は、全く褒め言葉でもなんでもないんですよ、単に人間を動物的要素で二分して「狼の側か羊の側か」といって羊の側の人間を曖昧にそう呼ぶわけですね。
さて、私ばかり卑屈になっていても何もはじまりませんから、本題に入ります。

それは時期としては、私の大学生活の後半に差し掛かる頃でしたから、いまから3〜4年前の話です。
ある冬の寒い日、バイトから帰る私は、実家近くのセブンイレブンの喫煙所で、いつものようにひとりで氷結ストロングをあおっていました。そのとき、隣でタバコを吸っていたドカタ風の男性二人が唐突に話しかけてきたのです。詳細は忘れましたが、その内容は
「俺たちは近くに住んでいるから、今度メシでも行こう」
というものでした。彼らと連絡先を交換し、ほろ酔い加減で床に就いた数日後、彼らのうちの先輩格から、お疲れさま!といった具合で、近所のファミレスでディナーに誘われました。当時既に他の宗教団体やマルチの勧誘を経験していたので、これから起こることの様々をこの時点でなんとなく理解していました。さりとて、ニート同然の生活を送っていた当時の私に、それを拒否する特別な理由はなかったので、その誘いに応じて、指定された時間と場所に、近所のファミレスをたずねたのです。
テーブルに並んだドリアやポテトを囲って男性が3名、私と、先輩格の中年と、その後輩らしき若者がありました。
展開としては、先輩格の中年が悩み事を聞き出すといった切り口で、顕○会について説明をするというものでした。
「俺はキリスト教の幼稚園に通っていたんだ。君は?」
「特に記憶にないです。」
日蓮大聖人って知ってる?」
「名前くらいは」
「創○学会って知ってる?」
「はい」
といった、おおよそありきたりとも思える流れ、話を聞かされている側の心理状態としては
「おぉ、これが宗教の勧誘だ」
というもので、特筆すべきことは何もありませんでした。
死後の世界と現世について語る彼、私は内心「中卒の低能が、なにをもって僕にそんな世界を語るのか」などと思いながらそれを聞いていたところ、ご利益について語る彼の口から
「先の話の、発達障害の子を持った彼女は、前世のカルマがあってそうなった(のであるが、信仰心により宝くじを当選させ、幸せを得た)」
という言葉を耳にし、とにかく煽り耐性などなく単純バカ明朗云々の私は
「うちの弟は自閉症です。僕も発達障害があります。発達障害の息子を二人も産んだうちの母は、よほど悪いことを前世でやったわけですね」
と返答してしまいました。
私に何やら色々と説いていた先輩格の男性は
「うーん…」
としばらく黙りこんだあと
「そういうケースもある…」
と言葉を濁しました。

私の叔母は、膠原病の難しいやつか何かをやっていて、病院に通って虚しくなるなどしたのち、とても怪しい(我が家の笑っちゃいけないネタ認定されてるような)くっそ怪しいセミナーに大金をつぎ込んでいます。人智を超えた信念の文化に、私も意味がないとは言いませんが(アホだと思っています)、ある種の生きづらさに喘ぐ人々に特有の対処法があることを理解しているつもりではあります。

面白かったのは、顕○会のなかでは
「より嫌がっている人を折伏すると、折伏によって得られる徳ポイントにボーナスが付く」的な話を先輩格の彼から聞いて、あぁ、なんか、ドラクエでいうとはぐれメタル的な客なんだな僕は、って思いました。

その後、後輩格の若いお兄ちゃんと二人で帰って、近所の公園のうんていの前で一杯やりました。彼は、先輩格の男性に勧誘されて顕○会に入って、お高い仏教の参考書を買わされたそうです。彼は翌年春、徳島だか高知だかに引っ越すそうで、先輩とも顕○会ともLINEをブロックしてトンズラできることを嬉しそうに語っていました。奴に幸あれ。

街を歩いてるだけで宗教やマルチや不動産の勧誘に遭うのは、別に私が優しそうとかいい人そうというわけではなく、単に端から「主体性がなく、チョロそう」に見えるというだけの話で、これは男としてほんとうに恥ずべきだと思います。
筋トレでもしようかな、めんどくさいな、とにかく歩いてて姿勢が悪いとナメられるんだろうな、
というわけで、整体に10回通うと姿勢がよくなると聞いているので、整体に行ってみようかななどと本気で考えはじめている今日この頃です。整体っていくらするんですか?でも姿勢がよくなるなら、お金出しちゃいますよね。