ラストエンペラー

昨日の夜、映画『ラストエンペラー』を観たんです。
♫てれれれ〜…てれれれ〜…てれれれ〜…れれれ〜れ〜…(メインテーマ)
私とこの名作との最初の出会いは、あるお正月のことでした。

毎年、父の実家にあけましておめでとうを言いにいくのですが、私の祖母のもとで伯父(還暦を迎えた統失ひきこもり無職)が住んでおりまして、彼と話すのは我々がしんどいから、お前が部屋に挨拶に行ってこい、と。
要は、家族内で私が「伯父さんを担当」しているのです。
この伯父さんは、山口組に命を狙われているホラー作家だそうです。
「ゑりぽむ君、きみはジョブズを知っているか?………ボクも、ジョブズのように起業をして、大成功する予定なんだ。。。来年のお年玉は、いくら欲しいかい…?」
…おじさん、ジョブズがおじさんと同じくらいの歳のとき、ジョブズは何してたと思う?死んじゃってたよ、ジョブズ
なんて言えないので、お年玉で100万円もらえたらいいですね〜!などと、つとめて明るい顔で答えたりしています。

ある年、そんな伯父さんの引きこもる部屋に私が挨拶に行ったところ、彼は寝そべりながら映画『ラストエンペラー』を観ていました。タバコを吸いながら、ユダヤ人がどうのみたいな話を聞かされた記憶があります。ユダヤとかフリーメーソンとか、トーシツの人たちの必修科目なのか?

伯父さんは祖母の年金だけで暮らしていて、いまの私よりも裕福そうな生活を送っています。浪人して千葉大学の薬学部を目指した彼は、のちに入学した大正大学を数週間で中退したそうです。私が物心つくときには、既に彼は仕事をしていませんでした。

私が高校生のころ、彼はお正月に、小説を書くためにwordの使い方を尋ねてきました。
小説を書かなくなってから、映画『ラスト・エンペラー』を観ていました。
その次のお正月は、山本太郎とガレッジセールのゴリと黒人数名が出演する、沖縄のような場所を舞台にしたドラマを観ていました。
翌年、お年玉をせびりに行ったところ、「お金を持っているだろう?」と、コンビニでウイスキーを買ってくるよう彼は私にお願いしました。
そのまた翌年、伯父さんは「ウー」といいながら、寝そべってお酒を飲んでいました。

来月、また伯父さんに会う機会があるので、彼にウイスキーの差し入れをしようと思います。